
日本株の配当金はいつ入る - 6月の入金シーズン、受け取り方式、再投資
日本株の配当金が6月にまとめて入金される理由(3月決算と株主総会)、受け取り方式4つの違い、NISAの非課税を受けるための条件、受け取った配当を再投資で回す方法まで。6月の配当入金シーズンに知っておきたいことを整理します。
6月は日本の個人投資家にとって配当の月です。郵便受けには株主総会の招集通知がたまり始め、今月下旬になると証券口座に配当の入金が次々と記帳されます。私も保有銘柄の大半が3月決算なので、毎年この時期が1年でいちばん配当が入ってくる季節です。
ところが、日本株を始めたばかりの方なら不思議に思うかもしれません。配当の権利が確定するのは3月末なのに、お金はなぜ3か月ほど後の6月に入るのでしょうか。本記事では、その仕組みとあわせて、配当の受け取り方式の違いと、受け取った配当の使い道まで整理します。
支払時期や受け取り方式の細かい手続きは、会社や証券会社によって異なる場合があります。実際のスケジュールと手続きは、保有銘柄の公式IRと取引先の証券会社の案内をご確認ください。
なぜ6月に配当が集中するのか
日本の上場企業は3月に会計年度を締める会社が多数です。そして期末配当はおおむね次の順序で進みます。
- 3月末、権利確定: この日に株主名簿に載っている人が配当を受け取る権利を得ます。
- 5月、決算発表: 会社が1年の業績とともに配当案を発表します。
- 6月下旬、定時株主総会: 配当案が総会で承認されます。
- 総会直後、支払開始: 承認された配当が数日のうちに支払われ始めます。
つまり権利は3月に確定しますが、配当は株主総会の承認を経る必要があるため、実際の入金は6月下旬に集中します。3月決算の会社が多いので総会も6月下旬に集中し、配当の入金も同じ時期に重なるわけです。
配当が年1回だけとは限りません。多くの会社が9月末基準の中間配当を別に出していて、こちらは総会の承認が不要なため11月下旬から12月初めに支払われます。そのため、3月決算の銘柄を持っていると、通常は6月と12月の年2回、配当が入ります。
もちろん、すべての会社が3月決算ではありません。私のポートフォリオの21銘柄も多くは3月決算ですが、堀場製作所やTOYO TIREのように12月に決算する会社、積水ハウスのように1月に決算する会社もあります。決算期が違えば配当が入る月も変わるので、保有銘柄の決算期を把握しておくと1年のキャッシュフローが見えてきます。
決算月ごとの入金時期を表にまとめるとこうなります。期末配当は決算月末に権利が確定して約3か月後の定時株主総会の直後に、中間配当はその半年後の時点で権利が確定して2か月ほど後に入金されるのが一般的なパターンです。
| 決算月 | 期末配当 | 中間配当 | 代表的な銘柄 |
|---|---|---|---|
| 3月(上場企業の多数) | 3月末確定 → 6月下旬入金 | 9月末確定 → 11月下旬〜12月初め入金 | トヨタ自動車、NTT、総合商社、KDDI |
| 12月 | 12月末確定 → 3月下旬入金 | 6月末確定 → 9月ごろ入金 | キヤノン、ブリヂストン、JT、堀場製作所 |
| 2月(小売・流通に多い) | 2月末確定 → 5月下旬入金 | 8月末確定 → 11月ごろ入金 | イオン、高島屋 |
| 1月 | 1月末確定 → 4月下旬入金 | 7月末確定 → 10月ごろ入金 | 積水ハウス |
正確な支払開始日は会社ごとに異なるので、保有銘柄の配当に関する案内(IR)で確認できます。
権利確定日と配当落ちの仕組み自体は株主優待入門の記事で整理しました。権利確定日を過ぎると株価は配当の分だけ下がって始まるため、配当だけを狙って直前に買っても得にはなりにくい、という点だけ改めて書いておきます。
配当の受け取り方式は4つ
日本株の配当は、受け取り方式を投資家が選べます。方式は4つあり、どれを選んだかによってお金の入る場所が変わります。
| 方式 | 配当が入る場所 |
|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 証券口座。複数の証券会社に分けて保有していれば、保有数に比例してそれぞれ入金 |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定した銀行口座1つに全銘柄まとめて入金 |
| 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに指定した銀行口座 |
| 配当金領収証方式 | 郵送で届く領収証を持って、ゆうちょ銀行などで現金受け取り |
この中で1つだけ覚えるなら株式数比例配分方式です。理由は単純で、NISAの配当非課税はこの方式を選んだ場合にだけ適用されるからです。 他の方式で受け取ると、NISA口座で保有している銘柄の配当であっても20.315%の税金が源泉徴収されます。非課税口座に高配当株を入れておきながら、受け取り方式のせいで税金を払うのはもったいない話です。受け取り方式は証券会社の口座設定で確認したり、変更したりできます。
配当が支払われると配当金計算書という書類が届きます。1株当たりの配当金、保有株式数、源泉徴収された税額、実際の受取額が書かれているので、入金額が想定どおりかはこの書類で確認できます。
受け取った配当から引かれる税金
特定口座なら、配当から20.315%が源泉徴収されたうえで入金されます。予想配当利回り4%の銘柄なら、実際に手元に入るのは約3.19%です。NISA口座なら、先ほど書いた受け取り方式の条件を満たしていれば、税金なしで全額が入ります。
税金の全体像、そしてどの銘柄をどの口座に置くのが有利かは日本株の税金と口座の記事で整理しました。要点だけ書くと、配当が厚い銘柄ほどNISAの非課税効果が大きいので、限られたNISA枠は長く持つ配当株に優先して割り当てるのが基本です。
受け取った配当をどうするか
入金された配当の使い道は、結局3つに分かれます。
- 再投資: 受け取った配当でまた株を買います。配当が配当を生む、複利の道です。
- キャッシュフローとして使う: 生活費やお小遣いに使います。配当株を持つ目的がそもそもキャッシュフローなら、自然な選択です。
- 待機資金として置く: いま買いたい銘柄がなければ無理に買わず、次の機会のために口座に置いておきます。
長く資産を育てるのが目的なら、基本は再投資です。同じ銘柄を買い増すと次の配当から受取額が増え、会社が増配までしてくれれば、保有数の増加と1株当たり配当の増加が重なって育つ速度が上がります。自分の買値に対する配当利回りが年々上がっていくこの仕組みは連続増配・累進配当の記事で扱いました。
ただし、日本株ならではのハードルがあります。売買単位が100株(単元株)なので、1回の配当だけで保有銘柄を100株買い増すのは難しいのです。方法は2つあります。配当を貯めておいて単位に達したら買うこと、そして証券会社によって提供されている1株単位の売買(単元未満株)のサービスを使うことです。1株ずつでもこつこつ増やせば、再投資の空白が減ります。どの銘柄に足すかを選ぶときは、高配当株10選の分析で書いた基準のように、利回りの数字だけでなく配当の持続性もあわせて見てください。
配当を記録するとわかること
このブログの名前のとおり、私は配当も記録に残す派です。大げさなものではなく、銘柄ごとにどの月に配当が入るかと、入金を確認した日を書いておく程度です。それだけでも2つのことが見えてきます。
1つ目は、1年の配当カレンダーができることです。先ほどの決算月ごとの表で見たように銘柄ごとに配当が入る月は違うので、保有銘柄ベースで作ってみると配当が集中する月と空く月がひと目でわかります。空く月を埋めたければ、決算期の違う銘柄を加える形でポートフォリオを調整することもできます。
2つ目は、異変に早く気づけることです。 去年より入金額が減っていれば減配があったということですし、配当金計算書の数字が想定と違えば、受け取り方式や税金の処理を確認するきっかけになります。記録がないと、そのまま見過ごしてしまいがちな変化です。
6月下旬には株主総会もある
配当の入金と同じ時期に、定時株主総会が集中します。権利確定日に株主だったなら、総会の招集通知と議決権行使の書類が郵送で届きます。総会の会場に行かなくても郵送やインターネットで議決権を行使でき、数分で終わります。配当案や役員選任といった議案にざっと目を通すだけでも、保有している会社がいま何をしようとしているのかの感覚がつかめるので、配当の入金を待つついでに一度開いてみてください。
おわりに
6月の配当入金は、3月末に確定した権利が3か月ほど後に実際の入金につながる、日本株の配当サイクルがいちばんよく見える場面です。受け取る側がやることはシンプルです。受け取り方式を株式数比例配分方式にしてNISAの非課税を取りこぼさないこと、配当金計算書で入金を確認して記録すること、そして受け取った配当を再投資するか、別に使うかを決めておくことです。配当は受け取って終わりではなく、次の配当を育てる材料になります。
※ 本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。支払時期や受け取り方式、税金の詳細は、会社・証券会社・個人の状況によって異なる場合があります。実際の判断の前には、保有銘柄の公式IRと取引先の証券会社の案内、必要に応じて税務の専門家にご確認ください。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。